大判例

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福岡地方裁判所 昭和26年(行)16号 判決

原告 長野茂登喜 外四名

被告 柳川町選挙管理委員会

一、主  文

原告の訴中補充選挙人名簿に登録を求むる部分を却下しその余の原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告等訴訟代理人は柳川町選挙管理委員会が昭和二十六年四月十七日なした原告等の補充選挙人名簿に関する異議の申立に対する却下決定を取消す、被告は右補充選挙人名簿に原告等の氏名を登録しなければならない、訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求め請求の原因として原告等は昭和二十五年九月五日山門郡柳河町大字東魚屋町二十七番地から同郡城内村大字本町六番地に転住したが城内村は昭和二十六年四月一日柳河町に合併され柳川町と称することになつた。従つて原告等は右の事情から昭和二十五年度城内村及び柳河町の何れの基本選挙人名簿にも登録されなかつたので、昭和二十六年二月頃と三月頃の二回に亘つて城内村選挙管理委員会に対し補充選挙人名簿登録申請用紙の下附を求めたところまだ申請期間等も定まつていないが、それ等の事項が定まつたときは通知するとのことであつた。然るに同年四月十二日になつて同年四月三日現在で調製された柳川町補充選挙人名簿にも亦登録されていないことを知つた。そこで原告等は同月十四日柳川町選挙管理委員会に対し補充選挙人名簿に登録されていないことを理由に異議の申立をしたところ、同委員会は原告が登録申請期間内である同月三日から同月七日迄の間に登録申請をしなかつたことを理由に同月十七日右申立を却下する旨の決定をし、原告等は同日右決定の通知書を受領した。しかし乍ら補充選挙人名簿は選挙権の行使を完全ならしめるため選挙権者の申請によつて調製されるものであり、選挙権者の利益のために設けられた制度であると謂うべきであるからたとえ申請期間内に申請しなくても所定期間内に異議の申立をして救済を求めた場合は右申立を容れて登録すべきものであり、単に右申請手続瑕疵を理由に右申立を却下した前記決定は違法であるから原告等は被告に対し右決定を取消して補充選挙人名簿に原告等の氏名を登録することを求めるた本訴に及ぶと陳述した。(立証省略)被告は原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、答弁として原告等主張の事実は認めるが、前記却下決定に原告主張のような違法はない。すなわち柳川町選挙管理委員会は昭和二十六年四月三日選挙告示と同時に柳選告示第四号を以て補充選挙人名簿調製要領により名簿調製現在期日名簿登録申請期間並びに申請方法等を告示すると共に同日柳選第三号を以て補充選挙人名簿に登録されるべき該当者は洩れなく所定期間内に登録申請書を提出するよう通知を発し駐在員をしてこれを各世帯に回覧させて一般に周知徹底を期した。しかるに原告等は右登録申請期間内に申請しなかつたから原告等の前記異議申立を却下したのである。以上の理由によつて原告の本訴請求に応ずることはできないと述べた。(立証省略)

三、理  由

凡そ行政訴訟においては行政庁に対し積極的に行政処分をなすことを命ずる裁判をすることはできないものと解すべきであるから原告等の本訴請求の内補充選挙人名簿に原告等の氏名を登録することを求める請求は本案に立入るまでもなく不適法の訴としてこれを却下すべきものとする。

次に原告等が補充選挙人名簿登録申請期間である昭和二十六年四月三日から七日迄の間に登録申請をなさず、同月十四日柳川町選挙管理委員会に対し登録脱漏を理由に異議の申立をなし、同月十七日右委員会が前記申請期間内に申請のなかつたことを理由に右申立を却下したことは当事者間に争のないところである。そこで右却下決定が違法であるか否かの点について考えてみるに成立に争のない乙第一、第二号証の各一同第三乃至第五号証によれば柳川町選挙管理委員会は同年四月三日補充選挙人名簿に関し名簿調製現在期日名簿登録申請期間、申請方法等を定めて同日同町公告式条例に従い告示すると共に駐在員連絡員を通じまた朝日新聞紙面を利用してこれが周知徹底を計つたことが認められ、登録申請期間が一般に通知せられたことは明らかである。而して補充選挙人名簿が基本選挙人名簿に並位して設けられた制度の趣旨から考えれば該制度は選挙権の行使を全からしめるため、選挙権者各人の保護を計るものであることは明らかであるが、他方亦選挙人名簿として公益的性格を有し、これが登録には所定の期間内に選挙権者自ら申請をしなければならないことは公職選挙法第二十六条第一項の明定するところであるから、登録申請期間は公益的性格を有する不変期間であると解すべきである。

而して原告等が右期間内に登録の申請をしなかつたことは前段認定の通りであるから原告等が本件補充選挙人名簿につきなした異議の申立は理由のないものと謂わなければならない。そこで前記却下決定は正当であるから原告のこの点に関する請求は理由がないものとしてこれを棄却すべきものとする。

よつて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 川淵幸雄)

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